2014年12月30日火曜日

「キャンパスハラスメント規定の改定に向けた勉強会」報告

たち「立命館大学ヘイトスピーチ事件の解決を求める会」は、関西学院大学の金明秀教授を講師にお迎えして、11月30日に「キャンパスヘイトスピーチ相談窓口立ち上げ企画《キャンパスハラスメント規定の改定に向けた勉強会》」を開催いたしました。

勉強会の趣旨は、立命館大学のハラスメント規定および相談窓口をキャンパスヘイトスピーチ、レイシャル・ハラスメントにも対応できるものにすることを目標に、近年の大学における具体的な事例を共有した上で、各大学のキャンパスハラスメント体制を検討し、今後の課題を明確にしていくことでした。実際にあった被害をもとに議論を進めるため、勉強会はクローズドで行いました(もちろん被害実態については、当事者の了解を得たうえで匿名化し共有しました)。

まず「解決を求める会」から「ハラスメント規定と民族的マイノリティへの言及の調査報告」「事例と課題」「アメリカの事例と議論について」の3つの報告を行い、それに対して金明秀さんから「大学におけるレイシズム対策:レイシャル・ハラスメントの事例と防止規定」と題する報告がなされました。

論点は多岐に渡りましたが、特にヘイトスピーチやレイシャル・ハラスメントの場合、従来のハラスメント概念が想定していた加害-被害の関係にとどまらない事例への対応が求められることが明らかになりました。例えば、ハラスメントは権力関係を前提にしているため、部下から上司、学生(職員)から教員への加害は一般的に想定されてきませんでした。また特定の個人への被害が訴えの前提になっているため、授業内で多数の人々に向けられる差別的表現の被害とその訴えも想定されてきませんでした。しかし実際には、教員から学生個人のみならず、教員から多数の学生、学生・保護者から教員、職員(大学当局)から教員・学生に向けられたヘイトスピーチ、レイシャル・ハラスメントが起こっており、それに対して適切に対応することが求められています。

またその際に、規定を改定するだけではなく、相談窓口が適切に被害を理解し、規定やガイドラインと実際の運用に乖離が生じたり、判断基準が担当者任せにならないような取り組みが求められているという指摘もありました。

それから1月の事件に関しては、大学および大学構成員に対する虚偽情報に基づく学外での誹謗中傷や侮蔑等に対して、大学が取るべき対応やその内容についても議論になり、「企業のようにふるまうのではなく、学問の場としての責任ある対応が求められる」「大学が被害を放置することは加害にあたる」といった意見が出ました。
 
「解決を求める会」では、今回の勉強会の成果を踏まえ、具体的な規定改正案を立命館大学に対して提案していくとともに、大学におけるヘイトスピーチ、レイシャル・ハラスメントに関する議論を喚起できるような取り組みをしていきたいと考えております。今後とも、ご注目下さい。